2005年06月18日

ご案内&古いの [雑記>ゴミ箱]

新カテゴリ「ゴミ箱」追加〜。
ここではサイトのギャラリーには諸事情があって置けないけれど、自分のPCに眠らせたままなのも気が引ける物を投下しようと思います。
(半数以上が腐ったモノになりそうなのはヒミツだ!w)←その時はちゃんと明記しますので。

そして初回は、サイトに置いてあるオリジ小説「遺言」の原型、仮タイトル「あこがれ」。
原型なのでメインテーマ(そんな大それたモノでもないが)とか登場人物は変わってません。性格は若干違うけど。
展開が余りにも強引なのと、話が練り込まなさ過ぎ(典型的に痛い)だったのでこれは駄目だろうとボツにしたものです。これを書き直して「遺言」が完成しました。
ボツにしたの引っ張ってくるのは抵抗あるけど、でも自分では気に入ってたので…。それにこっちの方が最後はキレイに纏まってるし(多分。
つーわけでもし興味がおありの方は下からどうぞ。暗いっつーか鬱系なので注意ね(でも書き直したのよりは幾分かマシだと思う。




 人間には、生への欲望と死への願望がある。
そう言ったのは誰だったか。
・・・忘れてしまったが、当たっていると思った。
共感できた。


だって、僕にも“死への願望”があったから―――


 いじめられていた。と言ってもワイドショーでやってる程大層なものじゃなく、校内の全員から徹底的に無視され、ついでに時々揶揄われるだけだった。
理由は特に無い。ただ、何かが周りのヤツらと違ったらしい。元々少なかった会話の中で、何かかみ合わない事があった。そんな事が続いたから。
相手の発想というか、思考の展開の仕方が解らなかっただけなのだ。なんであそこでああなるのやら・・・。
僕にあいつらが解らないように、向こうも僕が解らないようだ。解らないものは恐い。そんなくだらない、理由。馬鹿だ。
 無視されても別にこっちから話す用事は無いから構わないし、揶揄われても大して気にならなかった。遠足の班決めの時とかにちょっと面倒ではあったが、ただそれだけだ。辛いとかは思わなかった。


 ただなんとなく、死にたいと思っていた。
なんとなく、死を求めていた。
いじめが辛くて嫌で、というわけじゃない。ただこのままのうたりんと生きて行くのに疲れて、面倒になっただけだ。
生き続けるほどの価値はこの世界には無いから。
 なのに、僕は未だ死んでいない。
何故か?そんなの簡単だ。
“きっかけ”が無い。
―――そんな事を言ってるようじゃ、実はまだまだ生きたいのかもしれないけれど。
まぁ、自分が何かした事によって誰かに迷惑をかけるのも面倒、てのもあるのか。
「お前のせいでオレはこんなに迷惑しているんだ!」
そんな風にからまれるのは、何より面倒だったから。


 学校に来て授業を受ける。その間は誰も何もしてこない。
人目の無い場所でしか行動できないのだ。馬鹿馬鹿しい。
帰り際、クラスのリーダー格の奴に腕を掴まれた。
そいつの特徴を簡単に言うなら、チビデブ。いかにも頭悪そうな表情をしている。実際馬鹿なのだが。
体格、もとい肉付きだけは良いので、全体的に細い僕が振り切るのは不可能だ。
 リーダー格とは要するに、いじめの主犯にして煽動者の事。からんでくるのはいつも、こいつとその取り巻き2人のみだった。そいつらはチビガリ。こいつらも頭悪そうだ。
名前は一人も覚えてない。意味が無いし。面倒だから。

 そいつとその取り巻きと一緒に、僕は屋上に来た。ちなみに立ち入り禁止区域。
建物の端から1mほどの所に、青緑色のフェンス――どこにでも在る、針金が組み合わせてあるアレ――が張ってある。首を回すと、南側に1箇所、フェンスの外側に出るためのドアがある。何に使うのかは知らない。

「・・・高いところは嫌なんだけど。」
とりあえず言っておく。きっと効果は無いだろう。
「高所恐怖症かぁ?なっさけねェなぁ」
デブが言い、取り巻き2人が笑う。下卑た笑い声。気持ち悪。
「じゃー望み通りにしてやるよ、ホラ」
効果無いどころか、逆効果だったらしい。ある程度予想はしていたが。
唯一のドアは簡単に開き、僕は押し出された。フェンスの外に立たされる。1m進めば落ちる。
「下見ろよ。イイ眺めだぜェ」
ドアの前に立っている下っ端の1人が言った。つい見てしまう。
地面が、遠い。
・・・・・・まずい。

「そこ、どいてくれないか。」
振り向き、邪魔してるチビガリに言う。
「もうギブアップか?だぁめだめ、もっと眺めを堪能しろよ。折角のオレらのプレゼントなんだから」
プレゼントとは相手に対する感謝の気持ちを表すための贈り物を指す。言葉も正しく使えないのか、まったく哀れな奴ら。
またもや下卑た笑い。声まであげてる奴も居る。気持ち悪。

「・・・・・・」
この状態で出来る事はそう多くない。・・・面倒だが仕方ないだろう。ここに居たくない。
目の前のヤツは笑って気が逸れている。
その隙をつく。
ドンッ!
「ぐぇっ」
まるで、人間が突然体当たりされて倒れてしまった時に出すような声を聞いた。僕には関係無いが。
そのままの勢いで階段まで走る。駆け下りる。
「待てコノッ!!」
これ系の台詞を聞いて本当に止まった人、世界にどれくらい居るんだろうか。
無駄な事考えながらも、足はしっかりと動いている。
幸いこの学校、入ったばかりの頃は誰もが迷うほど無駄に広く、通路が多い。
それを利用して、細かく曲がる。すぐに見失うはずだ。
・・・・・・・・・
 案の定、2分もしない内に逃げ切れた。おかげで無駄に疲れてしまった。まぁ、あのままあそこに居るよりは大分マシなので我慢するしかない。


「高所恐怖症」、字面通りに受け取るなら、それは正解だ。高いところは嫌だから。
でも僕の場合、たぶん他の人とは理由が違う。
きっと一般では、高いところが恐いというのは「落ちてしまったら、と考えると恐い」だの、「地面が遠いと落ち着かない」だの、そんなとこだろう。
 僕はそうじゃない。
高いところから下を見ると、気を抜いたら飛び下りてしまいそうだから。
だからキライだった。
別にあのまま飛んだってぜんぜん構わないのだが、あいつらに煽られてやったように思われるのは嫌だ。
ついでに、校庭には人が多かった。折角飛び下りたのに地上に居た人にぶつかってしまい、結局自分は死ねずに下敷きになった人が死んでしまった―――なんて話よく聞くし、実際多いらしい。
「お前の所為で・・・」と言われるのは、どんな事より面倒で嫌だった。
逃げる事も後で見つかった時に何か言われるのも同じく面倒だったが、まだずっとこっちの方がマシだ。

 教室へたどりつく。もう掃除すら終わっていた。すぐに判ったのは僕の机の上にゴミが置いてあったから。
こういうのは毎日サボらずにやれるんだから、呆れるの通り越して尊敬できそうだ。
とりあえずゴミはちりとりを使ってゴミ箱へ捨て、それから荷物を纏めて帰ることにした。

***

 家に帰ってきた。
食卓の上には、メモと1000円紙幣。

「   夕御飯、自分で用意して下さい   」

いつものことだ。両方持って自室へ向かう。

―この家に住んでいるのは、中学生の僕と朝帰りする母親のみ。
父親とは3年前に離婚した。とはいっても相当前から別居していたので、特に変化は感じなかった。
 朝帰りは、職業柄、仕方ない。
母は、あまり人前で言いたくない仕事に就いている。僕へのいじめと関係が無いとは流石に言い切れない。が、僕は全然気にならなかった。
子供が親の仕事に口を出すべきではないし、女が稼ぐには1番効率が良い。
おかげで、母子家庭の割には裕福だと思う。質素な暮らしではあるが。


――自分の部屋に入る。
左側にベッド、正面に窓と学習机。
机の真ん中にはノートPC。中学入学祝でもらった。
僕の唯一の趣味と言える。
スイッチを押す。機械音と共に起動。壁紙とアイコンが表示される。
僕はeの形をしたアイコンをダブルクリックした。見なれたウィンドウが開く。
インターネット。
広大で深遠な情報の海に、1人で投げ出される感覚。どこへ行くのか、どれだけ潜るのかも自分の勝手。
誰が誰なのかなんて解らないし、解る必要も無い。
この海は誰でも受け入れる。最低限のルールさえ守れば、何をしても良い。
宇宙ほどに広いから、飽きる事は無い。

検索エンジンを開く。
今日は・・・そうだ、「自殺」。
入力してエンター。
大量に出てきた。あまりに多い。
「自殺」の後ろ、スペースを挟んで入力。
「日記」。

まだ結構な量があるが、この程度ならなんとかなる。
面白そうなのを選びクリックする。
読む。
検索結果に戻る。
クリック。
読む。
戻る。
クリック。
読む。
戻る。









そんなことを30回程だろうか、繰り返した。
主に読んだのは、自殺志願者の日記。
全員に共通していた言葉。

 ―――こんな世界・・・・・・―――

“世界”。
僕も嫌いだった。
僕が何かをしても、何もしなくても、変わらない。
こんな世界、滅んでしまえ。
いつも思う。
でも何も変わらない。
どんなに強く望んでも、どんなに強く願っても、叶わない事ばかり。
・・・こんなくだらない舞台から下りる方法は1つしかない。

死ぬことだ。

もう、どうでも良いと思った。
誰にどんな迷惑をかけようが、文句を言いたい時にはもう僕は居ない。
そんなの気にする必要、無いじゃないか。
咎めるものは無い。
死のう。

引き出しからカッターを取り出す。
手首に当てる。
刃のひんやりとした感覚が、妙に心地良い。
次の瞬間、力一杯刃を引いた。
・・・・・・あまり痛くない。
手首を見ると、少し皮が切れていただけだった。
血は出て来ている。が、大した事無い。
多分、毛細血管が切れただけなのだろう。
これだけじゃ死ねない。
僕はキッチンへ包丁を取りに行った。
我が家で1番切れる包丁だ。
これなら大丈夫。
誰も入って来れなくするため、玄関と自室の扉の鍵を閉める。
これで死ねる。
僕は部屋が見渡せる様に、ドアに寄り掛かる形で座った。

この部屋は好きだった。
誰も入って来ない、僕の聖域。
僕の、唯一の、居場所。
ここで死にたい。
右手に包丁を持ち、左手首に当てる。
これなら大丈夫。
「じゃあ、ね――――――」
誰かに言い、僕は右手に力を込めた。

***

 目を開くと、見なれない白い天井が目に入った。
・・・あれ?・・・・・・ここ何処だ?
どうやらベッドに寝かされているようだ。首だけ動かして見回す。
 僕の左側には、引き出しのある小さな白い棚に、2、3脚の白い丸イスと、少し離れて白いドア。
右側には、白いカーテンと曇った空。
そして足の方には、白い壁。
監獄のようにも見える、白で埋め尽くされた部屋だった。



 もう解っていた。ここは病院の一室。
どうやら自殺は失敗してしまったらしい。
当分刃物にはお目にかかれないだろう。
チッ。
舌打ちしても、気分は晴れなかった。

とその時、視界の隅でドアが開くのが見えた。
反射的に体を起こす。

「・・・・・・こんにちは。」
その子は。
自分のクラスで、僕が唯一名前を覚えている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
言葉が出なかった。どうして。君が。
「起きてるとは聞いてませんでした。もう具合は良いんですか?」
「あ・ああ、はい。多分、一応。」
くす、と少し笑った。
・・・僕がどもって喋るのが、そんなに笑えるんだろうか。
「あ、ごめんなさい。失礼しました」
気持ちが顔に出てしまったらしい。
「や、いえ、気にしないで・・・・・・」

なんとなく眺めてみる。
染めた事なんかなさそうな、赤墨色の髪。
前髪は顔の中心より少し左で2つに分けられており、後ろは肩口で切りそろえてある。
丸っこくてラズベリー色の眼鏡の奥の目は、普通の人より明るい茶色で。
今は、持って来てくれた色とりどりの鮮やかな花々を花瓶へと移してくれている。慣れているらしく、その作業は手早かった。

平出実佑(ひらいで・みゆ)。
名前を覚えていたのは、僕の所属するクラスの委員長をしているからと、もう1つ……


「私の顔、面白いですか?」


「えぁっ?! や、あ、ごめん・・・」
・・・僕はそんなに注視していたんだろうか。
くすり。
また笑われた。まぁしょうがないんだが。
「――えっとあの、僕が何故助かったのか・・・聞いてたりする?」
「お母さんが忘れ物を取りに家に戻ったら、血の海が広がってたから慌てて救急車を呼んだ、
と聞いています。救急隊が来るまでに必死で扉を開けて、止血していたというのも。
「そう、か・・・・・・」
あの親も人並みに愛情を持ってたのか。生まれて初めて知った。
「明日は一応様子を見ると言う事でこのままですが、あさってには退院出来るそうですよ」
「あ、うん、色々ありがとう」
ほとんどの疑問が彼女によって氷解した。

でもまだ、一番の疑問が残っている。
「平出さん、最後にもう1つ聞きたいんだけど・・・」
「なんでしょう?」
「・・・どうして、僕なんかの見舞いに?」
僕がいじめられてるのを知らない人間は、同じ学年に居ない。
そして僕と話しただけで自分も無視されることを知らない人間もまた、居ない。のに。
「理由が必要ですか?」
・・・・・・・・・はい?
「理由をつけるとすれば、先生に様子を見て来いと言われたのもあるんですが――」
ああ、なるほど。
あの教師ならやらせそうだ、自分の代わりとして。
「あなたが心配だったというのが、1番正確だと思います」

「・・・・・・・・・心配?」
意外な言葉。
よりによってこの人の口から、そんな言葉が出てくるとは。
嬉しくない・・・・・・わけがない。
「はい。正直、そこまで追い詰められてるとは思わなかったですから」
「そう・・・・・・か・・・」
他人から見ればその程度だったらしい。いや、それでも充分か。
「まだ嫌ですか?」
透き通った彼女の声。
「何が?」

「生き続ける事。」

・・・・・・・・・・・・・・・。
何故かとても言いにくい。
「今起きたところだし、・・・まだ、あまり考えてない、けど」
「けど?」
「やっぱり・・・・・・気は進まない、な」
「・・・・・・そうですか」
彼女は思考にふけるように、軽く俯いた。

時が流れる。
ただ静かなだけだったけど・・・・・・こういう沈黙は悪くない、ような気がした。

「それでは」
暫くして唐突に、彼女が切り出した。
「そろそろ、帰りますね。どうかお大事に」
「あ、どうも」
「明日もまた来ます・・・・・・あ、それと」
ドアノブに手をかけた姿勢で、振り向きつつ発せられた、言葉。


「“世界”はあなたが思ってるよりも、きっと優しいですよ」


パタン、と軽い音を立ててドアが閉まる。そしてまた白一色の部屋に戻る。
あっけないほどに、あっさりと。
「『世界は優しい』、か・・・・・・」
信じてみても良いのだろうか。
閉鎖的な空間を見渡しつつ思考する。
この、気が狂いそうに白で埋め尽くされた部屋で――――
――――あ。

頭もとの棚の上、白い花瓶の中。
彼女が持ってきた鮮やかな暖色の花が数輪、咲いていた。
ガーベラとか言っただろうか、細長い花びらが何十枚もついている、小さくした向日葵の
色を変えたような花。
紅、橙、桃、黄。
それはそれはどぎつい原色だったけれど、でも何故か、

優しさを感じさせて。

それはこの白い空間には浮いていて不釣合いだったのだけど。
自己主張が強すぎて嫌いな花だったのだけど。
何処からどう見ても仲間はずれなのだけど。
でもなぜか。
僕は目を離せなくて。


「僕は、この世界に存在したままで良いんだろうか」


閉じられているこの空間じゃ、答えは出ない。
でも。
今だけは此処に居て良いと、許してもらった気がした。


ガーベラの花は、何も言わずに咲いていた。
じゅにスラ 05:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記>ゴミ箱
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